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高齢者は身体機能が低下して食事を噛む力や飲み込む力が弱っており、硬いものや繊維質が豊富な食材を避ける傾向にあります。唾液の分泌量も減っているので、飲み込みにくいと感じるものが増えていきます。高齢者にとって食べやすい食事とそうでない食事が分かれるため、栄養素が偏ってしまうリスクがあるのです。味の好みも徐々に変化し、味の濃いものか薄いものどちらかに偏ることがあります。こういった要因が重なることで高齢者は食事量が減っていき、結果的に栄養素が不足する可能性が高まります。
上記で述べた通り高齢者の食事は栄養素が偏る可能性があるため、介護に携わる際には食材を食べやすく調理するなどの工夫が必要になります。また、食欲を刺激するために見た目にもこだわる必要があるでしょう。香りにも意識を向けて、旬の食材を用いるなどして食事に対してポジティブな印象を持ってもらうように取り組まなければなりません。1人ではなく、家族や友人などと食事を囲む機会を設け、その時間を楽しんでもらうといった環境作りも求められます。
高齢者の食事で不足しがちな栄養素として挙げられるのが、たんぱく質、カルシウム、ビタミンD、食物繊維です。たんぱく質は肉や魚に多く含まれる栄養素ですが、噛む力が必要なので高齢者は避ける傾向にあります。加齢に伴い消化吸収能力が低下することもたんぱく質が不足する原因の一つです。カルシウムは骨粗鬆症の進行や寝たきりの状態を防ぐために必要な栄養素です。カルシウムの吸収率を上げるために必要なのがビタミンDであり、カルシウムとビタミンDをバランスよく摂取しなければなりません。食物繊維は野菜、果物、海藻、キノコなどに多く含まれており、腸の働きを整える効果が見込めます。食物繊維を多く含む食品は噛みにくいので煮込んで調理するといった工夫が求められるでしょう。
特に重視すべきなのがたんぱく質です。加齢に伴い筋肉量が低下すると、自力で歩くことが困難になります。身体を支える筋肉を作るためにはたんぱく質が必須であり、日頃から適切な量を摂取しなければなりません。たんぱく質が不足することで介護が必要となる状態の一歩手前、いわゆる「フレイル」に陥るリスクが高まります。厚生労働省によれば、一日の摂取エネルギーのうち15~20%をたんぱく質に割り当てなければならないとされています。以前までは13~20%が目標値として定められていましたが、フレイル予防の観点から下限が引き上げられました。
食事介助の際に食事拒否をされると、そのあとの業務が滞るので焦ってしまう人も多いでしょう。食事拒否は、認知症の症状からくることもあります。食事拒否への対処法をあらかじめ身につけておくと、高齢者一人ひとりに合う方法を試しやすくなります。
未経験で介護職を目指す場合、資格取得支援制度のある転職先を探すのが得策です。とはいえ、自力での情報収集には限界があります。そこで、求人紹介や条件交渉などのサポートをしてくれる介護職向け転職エージェントを利用すると、効率的に転職活動を行えるでしょう。
食事介助の手順を紹介します。まずは正しい姿勢を取ってもらい、それが崩れないようにサポートします。箸やスプーンで食事を口に運ぶ際には必ず下側から運びましょう。バランスよく口に運び、相手のペースに合わせて無理せず食事をしてもらうように心がけてください。