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通常、人が食事をする際は飲み込む時に顎を引き、少し前かがみの姿勢になります。しかし高齢者になると筋力の低下や何らかの障害によって姿勢を保てなくなります。安全に食事をするために正しい姿勢を維持するポイントを知りましょう。
まず、椅子に座る際には深く腰かけてもらいます。足の裏が床に着いているか確認し、股関節と膝関節が90度になっているか確認しましょう。テーブルの高さが適切でない場合は調整し、顎を引いて少し前かがみの姿勢を取れるようにしてください。
ベッドで食事をする際はリラックスした姿勢を保つ必要があります。麻痺がある場合は身体が傾かないように注意しましょう。背もたれは30度以上を目安に調整してください。ベッドの折れ目に腰を合わせ、膝は軽く曲げた状態が好ましいです。顎を引ける姿勢にして、足の裏には枕やクッションを置いてずり下がらないようにしてください。
車椅子のまま食事をする人もいます。本来は椅子に移乗するのが好ましいですが、それが困難な場合はフットサポートなどを活用して足の裏が床に着くように調整してください。車椅子に乗っていると身体が自然と後ろに傾いてくるので注意しましょう。
姿勢を整えた後は食事を始めます。自分で箸やスプーンを使える場合は様子を見守りつつ、必要に応じて介助してください。自分で食事を口に運べない人には常に介助が必要になります。その際は、必ず介護者も座るようにしてください。立ったまま食事介助を行うと誤嚥のリスクが高まります。相手と同じ目線の高さで食事介助をすることで表情やのどの動きも確認しやすくなります。身体の片方が麻痺している場合は麻痺している側に座ってください。
箸やスプーンは必ず下側から口に運ぶようにします。上から運ぶと顎が上がり誤嚥のリスクが高まるためです。食事を口に入れたら奥まで入れ過ぎないように注意して、口が閉じたところで少し斜め下に引き抜きましょう。一口の量が多いと窒息したりむせたりするリスクがあるため、適量を意識してください。
また、口に運ぶ順番にも配慮しましょう。飽きないようにそれぞれの食べ物を交互にバランスよく運びます。好みは人それぞれなので、可能な限り本人の希望を汲んだ上で口に運んでください。口の中が乾かないよう、適度にお茶や水を補給します。大切なのは、急がずゆっくり進めることです。しっかり飲み込んだことを確認してから次の一口を運んでください。飲み込まないうちに口に運ぼうとすると焦ってしまい誤嚥のリスクが高まるだけでなく、食事そのものが苦痛になります。相手のペースに合わせて無理せず食事をしてもらうように配慮しましょう。
食事介助の際に食事拒否をされると、そのあとの業務が滞るので焦ってしまう人も多いでしょう。食事拒否は、認知症の症状からくることもあります。食事拒否への対処法をあらかじめ身につけておくと、高齢者一人ひとりに合う方法を試しやすくなります。
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食事介助の手順を紹介します。まずは正しい姿勢を取ってもらい、それが崩れないようにサポートします。箸やスプーンで食事を口に運ぶ際には必ず下側から運びましょう。バランスよく口に運び、相手のペースに合わせて無理せず食事をしてもらうように心がけてください。